ChatGPTやGeminiなどの生成AIをアンケート業務に使っているものの、「何と入力すればいいかわからない」「毎回プロンプトを一から考えている」という方は多いのではないでしょうか。
アンケート業務に生成AIを取り入れる企業は増えていますが、決まった正解がなく、手探りで使っている方も少なくありません。
本記事では、アンケート業務を「設計」「整形」「分析」「レポート」の4工程に分け、そのままコピーして使えるプロンプトを20例紹介します。各例には差し替えポイントを添えているため、【 】の中を自社の内容に書き換えれば、そのまま業務に使えます。
【20例の一覧】
| 工程 | 例 | 用途 |
|---|---|---|
| 設計 | 例1〜5 | 設問案の作成、偏り・選択肢のチェック、回答負荷の見直し、依頼メール |
| 整形 | 例6〜9 | 表記ゆれ統一、無効回答の判定、個人情報の検出、「その他」の振り直し |
| 分析 | 例10〜15 | 分類軸づくり、振り分け、ポジネガ判定、要約、代表的な声の抽出、属性比較 |
| レポート | 例16〜20 | 示唆出し、報告書の骨子、グラフ提案、経営層向けサマリー、次回改善点 |
Contents
アンケートのAIプロンプトには何を書けばいい?押さえるべき5要素
アンケートのAIプロンプトは、「目的」「前提データ」「出力形式」「制約」「評価基準」の5要素を入れると、出力の際のぶれが減ります。
| 要素 | 書き方の例 |
| 目的 | 顧客満足度調査の結果から、改善すべき点を把握したい |
| 前提データ | 対象は導入1年以上の法人顧客、回答数200件 |
| 出力形式 | 表形式で、列は「テーマ」「件数」「代表的な回答」 |
| 制約 | 300字以内/専門用語は使わない |
| 評価基準 | 判断できない回答は「保留」とし、無理に分類しない |
本記事のプロンプトでは、前提データを「対象者:」「データ:」、評価基準を「判断できないものは『保留』としてください」のような一文で書いています。
【設計編】設問づくりに使えるプロンプト5例
設計編は、設問のたたき台づくりとチェックをAIに任せるためのプロンプトです。
※プロンプト内の【 】は、自社の内容に差し替える箇所です。
例1:調査目的から設問案を出す
▼プロンプト
| あなたはアンケート設計に詳しいリサーチャーです。次の目的を達成するための設問案を10問作成してください。 目的:【例:既存顧客の継続理由と不満点を把握したい】 対象者:【例:導入1年以上の法人顧客】 制約:回答時間5分以内。自由記述は最後に1問だけ 出力形式:表(設問文/回答形式/選択肢/この設問でわかること) |
差し替えポイント:「わかること」の列で不要な設問を削れます。
例2:誘導・ダブルバーレルなど設問の偏りをチェックする
▼プロンプト
| 次の設問リストから、①回答を誘導する表現 ②1問で2つのことを聞いている設問(ダブルバーレル) ③解釈が分かれる曖昧な言葉 を指摘し、修正案を出してください。該当がない設問は「問題なし」としてください。 出力形式:表(設問番号/問題の種類/理由/修正案) 設問リスト:【設問を貼り付け】 |
差し替えポイント:自社でよく起きる問題は④に追加します。偏りの例は[ダブルバーレル質問(二重質問)とは?例文と言い換え方・改善例を解説]で解説しています。
例3:選択肢の抜け漏れ・重複を確認する
▼プロンプト
| 次の設問の選択肢に、抜け漏れや重複がないか確認してください。「どの選択肢にも当てはまらない回答者」が出るケースがあれば、具体例と修正案を示してください。 設問:【設問文】 選択肢:【選択肢を改行区切りで貼り付け】 |
差し替えポイント:単一回答か複数回答かも書き添えます。
例4:設問数と順序を見直して回答負荷を下げる
▼プロンプト
| 次のアンケートを【10】問以内に絞りたいです。調査目的に照らして各設問を「必須/あれば望ましい/削除候補」に分類し、理由を添えてください。あわせて、回答しやすい順序への並べ替え案も示してください。 目的:【調査目的】 設問リスト:【設問を貼り付け】 |
差し替えポイント:【10】は自社で回答負荷が許せる設問数に変えます。
例5:回答依頼メールの文面を作る
▼プロンプト
| 次の条件で、アンケート回答の依頼メールを作成してください。 送付先:【例:既存顧客のご担当者】 目的:【例:サービス改善のための満足度調査】 所要時間:【約5分】/回答期限:【日付】 制約:件名案を3つ。本文は300字以内。回答データの利用目的を1文入れる |
差し替えポイント:謝礼や抽選がある場合は条件に追記します。
【整形編】回答データを整えるプロンプト4例
整形編は、AIに生データを渡す前の「下ごしらえ」のためのプロンプトです。出力は必ず元データと突き合わせましょう。
例6:表記ゆれを統一する
▼プロンプト
| 次のリストで、同じものを指していると考えられる表記をグループにまとめ、代表表記を1つ決めてください。判断に迷うものは「要確認」としてください。 出力形式:表(元の表記/代表表記/判断の根拠) データ:【回答を改行区切りで貼り付け】 |
差し替えポイント:正式名称があれば先に候補として渡します。
表記ゆれの統一や不備の検出を、回答データを外部のAIに貼らずに行いたい場合は、smile surveyのAIオプションの「データクレンジング機能」を使えばツール上で処理できます。
例7:「特になし」などの無効回答を判定する
▼プロンプト
| 次の自由記述回答を「有効/無効」に分類してください。 無効の基準:「特になし」「なし」などの内容がない回答、意味をなさない文字列、設問と無関係な回答 判断できないものは「保留」としてください。 出力形式:表(回答ID/判定/理由) データ:【回答IDと回答を貼り付け】 |
差し替えポイント:「特になし」を満足とみなすなら基準から外します。
例8:個人名・連絡先らしき文字列を検出するExcel関数を作らせる
▼プロンプト
| Excelで、【C】列の自由記述に「電話番号」「メールアドレス」「〜様/〜さん」などの個人情報らしき文字列が含まれているかを判定し、【D】列に「要確認」と表示する関数を作ってください。 対応しているExcelのバージョン:【Microsoft 365】 |
差し替えポイント:データは貼らず、関数だけ作らせるのがポイントです。
例9:「その他」の自由入力を既存の選択肢に振り直す
▼プロンプト
| 次の設問の「その他」の回答を、既存の選択肢に振り直してください。どれにも当てはまらないものは「新カテゴリ候補」としてまとめ、カテゴリ名を提案してください。 既存の選択肢:【選択肢】 「その他」の回答:【回答を貼り付け】 |
差し替えポイント:新カテゴリ候補が多ければ選択肢見直しのサインです。
【分析編】自由記述を読み解くプロンプト6例
分析編は、自由記述の分類・要約・比較をAIに手伝わせるためのプロンプトです。
例10:分類軸(カテゴリ案)を出させる
▼プロンプト
| 次の自由記述回答を読み、分類に使えるカテゴリ案を5〜8個提案してください。各カテゴリには、1文の定義と該当しそうな回答例を2件添えてください。 目的:【例:サポート体制の改善点を把握したい】 データ:【回答を貼り付け】 |
差し替えポイント:目的は報告相手の関心に合わせて書きます。
例11:決めた軸で回答を振り分ける
▼プロンプト
| 次のカテゴリ定義に従って、各回答を1つのカテゴリに振り分けてください。どのカテゴリにも当てはまらない、または判断できない回答は「保留」としてください。 カテゴリ定義:【カテゴリ名と定義】 出力形式:表(回答ID/カテゴリ/判断の根拠となった表現) データ:【回答IDと回答を貼り付け】 |
差し替えポイント:話題が複数ある回答は「複数選択可」にします。
例12:ポジティブ/ネガティブを判定する
▼プロンプト
| 次の回答を「ポジティブ/ネガティブ/要望/中立」に分類してください。ネガティブと要望には、対象(例:価格、操作性、サポート)も付けてください。 出力形式:表(回答ID/判定/対象/根拠となった表現) データ:【回答IDと回答を貼り付け】 |
差し替えポイント:「対象」の候補を先に指定すると表記がそろいます。
例13:テーマ別に3行で要約する
▼プロンプト
| 次の分類済みデータについて、カテゴリごとに内容を3行で要約してください。各カテゴリの件数と全体に占める割合も示してください。 データ:【回答とカテゴリを貼り付け】 |
差し替えポイント:件数はExcelで集計した値を渡すと確実です。
例14:代表的な声を原文のまま抜き出す
▼プロンプト
| 次の回答から、【不満】を代表する声を5件選び、原文のまま抜き出してください。原文以外の文章は書かないでください。言い換えや要約もしないでください。 出力形式:回答ID/原文 データ:【回答IDと回答を貼り付け】 |
差し替えポイント:抜き出した後は回答IDで原文を照合します。
例15:属性別(満足層・不満層など)の違いを比較する
▼プロンプト
| 次のデータを【満足層(4〜5点)】と【不満層(1〜2点)】に分け、自由記述の傾向の違いを3点挙げてください。各違いについて、根拠となる回答例を原文で1件ずつ示してください。 データ:【スコア・属性・自由記述を貼り付け】 |
差し替えポイント:【 】の区分は、自社の評価尺度(5段階・NPSの0〜10点など)に合わせて変えます。
NPSの場合は[NPSのフリーコメント分析をAIで自動化する|推奨者・批判者別に打ち手を出す方法]をご覧ください。
【レポート編】報告資料に落とし込むプロンプト5例
レポート編は、分析結果を報告書や社内共有に使える形にまとめるためのプロンプトです。
例16:集計結果から示唆を3点出す
▼プロンプト
| 次の集計結果から読み取れる示唆を3点挙げてください。各示唆には、根拠となる数値を必ず添えてください。回答数が【30】件未満の区分は参考値として扱ってください。 目的:【調査目的】 集計結果:【表を貼り付け】 |
差し替えポイント:示された数値は、元の集計表と必ず照合します。
例17:報告書の骨子を作る
▼プロンプト
| 次のアンケート結果をもとに、社内報告資料の骨子を作成してください。 報告相手:【例:営業部長・CS部長】 報告の目的:【例:次期のサポート体制見直しの判断材料にする】 制約:【10】枚以内 出力形式:ページ番号/タイトル/載せる内容/使うグラフ |
差し替えポイント:報告相手が決めたいことを目的に書きます。
例18:データに合うグラフの種類を提案させる
▼プロンプト
| 次の集計結果を報告資料に載せます。設問ごとに、最も伝わりやすいグラフの種類と理由を提案してください。 集計結果:【設問ごとの集計表】 |
差し替えポイント:使えるグラフが限られる場合は候補を指定します。
例19:経営層向けの1枚サマリーにまとめる
▼プロンプト
| 次のアンケート結果を、経営層向けの1枚サマリーにまとめてください。 制約:300字以内。「結論→根拠の数値→推奨アクション」の順。専門用語は使わない 調査概要:【目的・対象者・回答数・実施期間】 主な結果:【数値と傾向】 |
差し替えポイント:推奨アクションの最終判断は人が行います。
例20:次回調査の改善点を洗い出す
▼プロンプト
| 次のアンケートの設問と回答結果をもとに、次回調査で改善すべき点を挙げてください。 観点:回答が偏った設問、「その他」や無回答が多い設問、分析に使えなかった設問 出力形式:表(設問番号/問題点/改善案) 設問と結果:【貼り付け】 |
差し替えポイント:回収率の推移も渡すと配信方法の改善案も出ます。
AIの出力が思いどおりにならないときはどう直す?
AIの出力が思いどおりにならないときは、症状に合わせてプロンプトに一文を足すのが最短です。
| 症状 | 追加する一文 |
|---|---|
| 出力が長すぎる | 「各項目は2行以内、全体で300字以内にしてください」 |
| 分類がぶれる | 「各カテゴリの定義に当てはまらない場合は『保留』としてください」 |
| 存在しない引用が出る | 「原文にない文章は書かないでください。必ず回答IDを付けてください」 |
| 毎回結果が変わる | 「前回と同じカテゴリ定義を使ってください」と定義を毎回貼り直す |
アンケートデータをAIに貼っても大丈夫?避けるべき3つのこと
氏名・連絡先などの個人情報は、そのまま貼らないのが原則です。アンケートデータを生成AIで扱うときは、次の3点を避けましょう。
個人情報をそのまま貼る
回答IDに置き換える、該当列を削除するなどの処理をしてから使います。(例8の関数も活用できます)
回答データを外部のAIに貼り付けること自体を避けたい場合は、smile survey(スマイルサーベイ)のAIオプションのように、ツール上で分析まで完結できる方法もあります。
社内ルールや利用規約を確認せずに使う
利用できるAIサービスや入力してよい情報の範囲は企業ごとに異なります。
AIの出力を検証せずに報告する
生成AIはもっともらしい誤りを出すことがあります。数値と引用は必ず元データと照合します。
よくある質問
Q. ChatGPT以外(Gemini・Claude・Copilotなど)でも使えますか?
A. はい。本記事のプロンプトは特定のAIに依存しない書き方のため、Gemini、Claude、Microsoft Copilotなど主要な生成AIでそのまま使えます。
Q. 無料版のAIでも使えますか?
A. 設問案の作成や少量の自由記述の分類なら、無料版でも使えます。ただし入力データの取り扱い条件はプランによって異なるため、業務データには社内で利用が認められたプランを使いましょう。
Q. アンケートツールのAI機能とはどう使い分ければいいですか?
A. 単発の設問案づくりや少量のデータ分析は汎用AIとプロンプト、回答の収集から分析までを継続的に行う場合はアンケートツールのAI機能が向いています。なお、smile survey(スマイルサーベイ)のAIオプションでは、設問作成・データ整備・分析をツール上で完結できるため、回答データを外部のAIに貼り付ける必要がありません。
使い分けの考え方は[ChatGPTだけでアンケートは完結する?汎用AIとアンケートツールの役割分担]、AI機能付きツールの比較は[AI機能があるアンケートツール5社比較|日本語のアンケートでAIが使えるのはどれ?]をご覧ください。
まとめ
アンケート業務は「設計」「整形」「分析」「レポート」の4工程すべてでAIプロンプトを活用できます。「目的・前提データ・出力形式・制約・評価基準」の5要素を意識して【 】を書き換えれば、そのまま業務に使えます。
各工程の考え方や手順から押さえたい場合は、次の記事もあわせてご活用ください。
| 工程 | 本記事のプロンプト | 考え方・手順を深める記事 |
|---|---|---|
| 設計 | 例1〜5 | AIを使ったアンケート設計の方法とは?手順とコツを解説 |
| 整形・分析 | 例6〜15 | アンケートの自由記述をAIで分析する方法|手順・プロンプト・注意点を解説 |
| レポート | 例16〜20 | アンケートの集計とレポート作成をAIで自動化する手順|報告資料づくりの工数を削る |
個人情報の扱いと出力の検証は人が担い、AIには「型がある作業」を任せましょう。



